当ルームのカウンセリング
2025/10/14
発達性トラウマの癒し

発達性トラウマとは、主に幼少期に繰り返し経験した「安全感の喪失」が、その後の心身の発達に影響を与えた状態を指します。
原因となる体験として、明確な虐待やネグレクトだけではなく、家族の病気や養育者自身のトラウマなど様々な要因によって、子ども自身が欲しかった「安全」を十分に提供できなかった場合に起こります。
子どもの自律神経系は、安定した大人との関係の中で調律され、「安全を感じる基盤」と「自己感覚」を作ります。
安全を感じる体験が環境から提供されにくかった場合には、「世界や他者は危険」「自分は愛されない」という自他への信念と共に、危険な状態に自力で対処する様々なサバイバルパターンが出来上がります。
そうしたパターンは大人になって物理的には安全な状態になってからも継続し、「理由は分からないけど、なんとなく生きづらい」、「なぜかいつも自信がない」という感覚を伴いやすくなります。
自己評価の問題の他にも、緊張や羞恥心の強さなども含む感情調節の苦手さ、依存や回避、関係継続の難しさなどの対人関係にまつわる困難、身体的生理的な症状(慢性的な倦怠感、頭痛、消化器系症状、免疫力の弱さ、感覚刺激の敏感さ)など、様々な困難を伴いやすいです。
しかし、「心的外傷後成長」と言って、トラウマを乗り越えた先に生じるポジティブな心理的変化や人間的成長についても研究が進んでいます。
トラウマを乗り越えるために自分の価値観や世界観を再構築する過程は、まるで鉛が純金に変わる錬金術のように、未知なる自分を発見し、成長につながる道筋です。
当ルームでは、ポリヴェーガル理論に基づいた自律神経モデルや愛着理論、治療関係に視座を置いた力動的理解など、様々な心理療法のエッセンスを組み合わせて総合的に発達性トラウマの癒しのプロセスに取り組んでまいります。