当ルームのカウンセリング

2020/03/31

HSP (とても敏感過ぎる人々)

HSP って知ってますか?

 

ここ数年で「私、HSP かもしれないです...」

という相談が増えています。

 

HSP とは、highly sensitive  person (とても敏感過ぎる人々)の略です。

 

元々は、アメリカのユング派心理療法家エレイン・N ・ アーロン(Eleine N Alone)博士の研究によって提唱されたものです。

 

 アーロン博士自身が自分の敏感過ぎる気質に悩んでおり、その後、心理療法家になり、似たような生きづらさを抱えているクライエントに多く出会ったことから、HSP 研究と概念につながりました。

 

敏感さは多岐に渡りますが、大きく分けると以下の4つに大別されます。

 

1)処理の深さ(Depth of processing)

感覚的な刺激を強く、深く、受けとり、処理する傾向があります。物事を深く掘り下げて考える性質があるため、子供の頃から、他の子があまり疑問に感じないようなことも考えていたという方が多いのです。

 

2)刺激の受けとりやすさ(overstimulated)

あらゆる刺激をキャッチしやすいのです。そのため、自分にとって不要で疲れる刺激や、多くの人が気に留めないような刺激も受け取ってしまいます。例えば、賑やかな場所が苦手だったり、人間関係のギスギスした雰囲気に人一倍敏感で、疲れやすかったりします。

 

3)情緒的な反応と高い共感性(Emotional reactivity and high Empathy )

情緒的な感受性が強く、感動しやすかったり、動揺しやすかったりなど、ポジティブ、ネガティブ両面で強く反応が出やすいです。

他者の気持ちにも敏感で、同情や共感といった形で、相手の気持ちに入り込みやすいです。

こうした資質をプラスに働かせ、芸術的素養を身に付けたり、対人援助職として活躍されている方もいます。

しかし、マイナスの側面として出ると、対人関係でトラブルに巻き込まれたり、巻き込んだりする可能性もあります。

 

4)些細な刺激に対する感受性(Sensitivity to Subtle  stimuli)

刺激に対する五感の感度が非常に高いのです。音や匂い、身体の感覚に敏感です。そのため、例えば、服のタグのチクチク感が気になって落ち着かない、多くの人が気にならないような音や匂いに敏感で、具合が悪くなるといった方がいます。

 

こうした生きづらさを抱えていますが、

なかなか理解されず、

また、自分でも自分のことを理解しきれず、

苦しんでいる方が多いのです。

 

例えば、対人関係や他者の心の機微に敏感なのを

「気にし過ぎだね!スルースキルを身につければ?」

と言われてしまったり、

賑やかな場所が苦手などの過敏さを

「わがまま」、「社交性に欠ける」 

と捉えられたり、

自分でも「まわりに迷惑をかけている」

と捉えやすい方も多いようです。

 

こうした特性は生まれ持った気質です。

研究の成果として、脳の扁桃体の反応しやすさが影響していると言われています。

にもかかわらず、

子供の頃から「直す」ように求められたり、

自分でも「自分はどこかおかしいのだろうか...」と悩んでいる場合もあります。

こうした生来の敏感な特性に、

周囲との齟齬が加わると、

うつ病やPTSD などの疾患にもつながりやすいことが知られています。

 

家庭環境や学校環境の中でのネガティブな刺激も敏感に受け取ってしまうため、非HSP に比べ、HSP はトラウマティックな体験に繋がりやすいことも指摘されています。

 

疾患までいかなくても、

慢性的な抑うつ状態、

自己肯定感の低さ、

トラウマ的な傷つき体験、

孤独感を抱えている方も多いのです。

 

 精神的な問題だけでなく、

慢性的な疲労感や慢性疾患、

アトピーなどの皮膚疾患との関連も指摘されています。

(肌は外界と内界を隔てる境界線です。刺激が入り込みやすく、境界線を作るのが苦手なHSP らしい疾患と言えます)

 

HSP 特性は生まれ持った気質なので、「直す」ことではなく、自分を知り、受け入れ、活かすことが生きやすさの鍵です。

 

加えて、これまでの傷つきを癒し、自己肯定感を培っていくことも重要です。

 

また、HSP だからといって、まったく刺激がない状態が良いわけでもありません。

 

人は誰しも成長する上で適度な刺激を必要としています。

 

当ルームでは、様々な心理学的知見に基づいて、生きづらさを強みに変えるお手伝いをしています。